徳島県 虎屋壺中庵
岩本光治 IWAMOTO Koji
吉兆で修業、湯木貞一氏から直
に料理哲学の薫陶を受ける
岩本光治さんが営む「虎屋 壷中庵」は徳島駅から20kmほど離れた四国山地の入口、佐那河内村(さなごうちそん)にある。中国故事に由来し、別天地を意味する「壷中」の店名に違わぬ佇まい、都会とは違うスピードで時間が流れる。仕出旅館だった虎屋旅館で育った岩本さんは地元の高校を卒業後、????兆に就職。嵐山に配属され調理場で修業に就いた。日本料理の技術を叩き込まれるのと合わせ、月に一度訪れる創業者、湯木貞一氏から直に料理哲学の薫陶を受ける。丁寧な仕事、飾りではなく食べるための演出、客のために労を厭わぬ姿勢、自然と対峙する心は、現在も岩本さんの料理やもてなしの底流をなす。
素材のおいしさを知り、引き出す
ためのシンプルを練りに練る
結婚を機に実家に戻り、開業した岩本さんが当初提供していたのは????兆風の味付けだったが、京都の上品な味自体が受け入れられない。そんな悩みを解消したきっかけが「地元にある実においしい素材と出会ったこと」だった。生産者がこの風土で作った野菜や米、漁師が届けてくれる魚介、自身で釣る川の恵み。素材そのもののおいしさを生かそうと味付けを極力シンプルにしていった。「シンプルとは単純に引き算していくのとは違う」。出汁は重ね過ぎない。塩一つにしてもギリギリの味付けで素材の味を引き出す。この限界点、素材の価値を最大限に生かす「好加減(いいかげん)」を追究する日々が続く。
先付
ノコギリガザミとそのカニ味噌。ノコギリガザミは汽水域に生息するワタリガニの仲間。ヌメリササタケと菊菜とのおろし和え、生の栗の薄切りを添えて。
鱧と松茸の椀
紀伊水道から淡路にかけての漁場で揚がった鱧と、近隣の里山で採ってきた松茸のお吸い物。チンゲン菜の間引き菜、地元産の柚子をあしらって。
お造り
写真上から右回りに、鯛、アオリイカ、山で採ってきた岩茸、車エビで、真ん中にあるのは間引きカブラ。村さんが鳴門で獲った鯛は、少し薄いくらいでちょうどいいプリプリの食感。車エビには地元産柚子のちり酢、アオリイカには昆布塩で。
推薦している生産者はいません。
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監修商品はありません。
虎屋壺中庵
所在地 | 徳島県名東郡佐那河内村上字井開1番地 |
電話番号 | 088 ー679 ー2305 |
店舗ホームページ | |
営業時間 | Lunch 12:00-14:00 Dinner 17:00-20:00 |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | 有 |
料金 | Lunch = 5,000円〜 Dinner=13,000円〜 税・サービス料別 |
いいかげん。ギリギリの味付けで
18歳から????兆嵐山店(現京都????兆嵐山本店)で5年間修業。創始者湯木貞一氏の下で焼き場を任され、日本料理の技術ともてなしの精神、自然への畏敬に根ざす氏の料理哲学を学ぶ。1976年に仕出旅館だった実家に戻り、日本料理店・虎屋壷中庵開業。国内線の夕食を監修するなど、地域食材のアピールにも努める。2016年ブロンズ賞受賞。1953年徳島県生まれ。シンプルに素材の味を引き出す