新潟県 里山十帖
桑木野恵子 KUWAKINO Keiko
雪国だからこその時間に、淘汰された食文化の合理性に気づいた
桑木野恵子さんが料理長を務める里山十帖は雪国ガストロノミーの発信地だ。コシヒカリの名産地であり、石打や苗場など有名なスキー場が多い豪雪地帯でもある。8年前に移住してきた当初、桑木野さんは「半年間雪に閉じ込められている生活は貧しいもので、ここで料理は作れない。帰ろうかと思った」という。しかし、雪で作物が取れなくなる前に春から準備する生活、逆に雪で貯蔵することで価値を増す食材や食べ方もある。雪国の四季を通して自然を見る中で、長い年月をかけて豪雪地帯で築き上げられた食文化があることに気づいた。「現場で丁寧な仕事を続けることが自分らしさ、新しい料理の発想に結びつくかもしれない」
自然の中で無理がない料理をしたいという信念は曲げない
海外でベジタリアンやヨガの生活を送りヴィーガンだった桑木野さん。野菜だけで料理を作っていた硬い自分に、信念を取るべきか料理人を取るべきか葛藤があったが、「料理長になった時に腹を決めた」。野菜だけで出すよりも、魚や肉のうま味と合わせることで野菜の魅力をより引き出せるようになり、お客さんの反応も変わってきた。川魚へのこだわりも捨て、新潟県という枠で捉えて里山と海をつなげるストーリーを作る。自然と人間が共存する里山では「山菜の一生を見ることができるのが特権」。ここ2~3年自然環境は目に見えて変わってきたが、「毎日山に入るので、自然の知恵を借りて山の自然環境を守っていきたい」
山菜鍋
その日に山で採ってきた山菜を、村上市山北地域で、放し飼いで育てられた鶏で取っただしで鍋にして食べてもらう趣向。
長岡市の在来種“中島巾着茄子”
中島巾着ナスの伝統を100年以上守り続ける茄子農家さんからいただく中島巾着茄子。甘味が強く煮崩れしないのが特徴で、トマトと胡瓜からそれぞれ取ったエキスで3時間ほど炊く。丁寧に擦った胡麻ミルクと合わせて。
保存と発酵
雪国では長い冬を越すために様々な叡智がある。雪室で保存して甘味の増した大根と、春から秋にかけて山や畑で採れた食材を保存発酵させたものを味のアクセントとして、雪深い冬に豊かな魚沼の四季や情景を想う一品。
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里山十帖
所在地 | 新潟県南魚沼市大沢1209-6 |
電話番号 | 0570-001-810 |
店舗ホームページ | http://www.satoyama-jujo.com/ |
営業時間 | 17:00~22:00 |
定休日 | 無休 |
駐車場 | 有 |
料金 | 14,080円 |
シェフ自ら猟を行いジビエや地元の素材を丁寧に使ったフレ ンチレストラン
Restaurant UOZEN
所在地 | 三条市東大崎1-10-69-8 |
電話番号 | 0256-38-4179 |
店舗ホームページ | http://uozen.jp/ |
かやぶき屋根の古民家で魚沼地方の田舎料理が楽しめます
欅苑
所在地 | 南魚沼市 長森24 |
電話番号 | 025-775-2419 |
店舗ホームページ | http://www.keyakien.com/top.shtml |
八海山尊神社のすぐ横にあるお蕎麦屋さん。在来蕎麦と山菜 が楽しめます
宮野屋
所在地 | 南魚沼市大崎八海山大崎口3742 |
電話番号 | 025-779-2145 |
店舗ホームページ | https://miyanoya.jp/ |
雪国の四季を通して豪雪地帯で
大学卒業後、エステティックサロンに勤務。2007年からオーストラリア、ドイツ、インドなどを巡り、ヨガと各国のベジタリアン料理を学ぶ。12年に帰国し、東京都内のヴィーガンレストランに勤務。14年、株式会社自遊人に入社し、里山十帖にプレオープンから携わる。18年、里山十帖の料理長に就任。22年、ブロンズ賞受賞。1980年、埼玉県生まれ。築き上げられた食文化に気づいた