料理マスターズ理念

料理マスターズ理念&基準

about

料理マスターズとは

東京は世界一星が多い都市といわれるように、日本のレストランに対する評価は概して高く、日本の食は今や世界に冠たるものになっています。
また、日本の食材も、世界から注目されています。料理人の技術はもちろんのこと、日常の食事の中で培われてきた季節感、食に対する意識や味覚の高さが、幅広い裾野となって、日本の食を支えてきたと言えましょう。

世界に誇りうる日本の料理ですが、食の世界を山に見立てた場合、日本はその山の頂の高さに比べて、裾野に当たる日常の食の世界が徐々に浸食されつつあるのではないでしょうか。
食材についても、いつでも食べられるという点では便利ですが、半面で、「旬」という感覚が持ちづらく、季節感が薄らいでいます。
自分の住む地域や親から伝わる食文化のつながりも希薄になってきています。

この問題には、「食」と「農」(第1 次産業という言葉が相応しいですが、長いので、語感という点から、ここでは農という言葉でそれを表すことにします)が切り離されてしまったことが大きな影響を与えているのではないでしょうか。
「食」(消費)と「農」(生産)とが離れてしまった結果、生産者は消費する側のニーズが分からなくなっています。
他方で、何が良いものなのか、作る側の価値観だけで考えてしまっている傾向が強いようにも思われます。
その結果、生産者は作っても売れない、儲からないという状況を生み出し、地方の疲弊を招くことになります。
他方、食材に対する低価格志向が強くなっている半面、安全・安心面への関心も強くなっています。

こうした状況の下、生産者と消費者の中間にいる料理人の中で、食と農をつなごうという動きが出てきました。
食と農をつなぐ活動をしている料理人を表彰することで、食材の産地を元気づける活動を奨励し、その活動を拡大・普及させていく必要があると思います。
「料理マスターズ」顕彰制度はフランスの農事功労章をモデルに、生産者等と協働して、日本の第1 次産業の活性化等に貢献している料理人を国が表彰することで、日本の食を支えるシステムを強化し、食と農をつなぐことを通じて地方が活性化することを目的としています。

地方には、素晴らしい食材があります。
しかし、それを調理し食材の魅力を引き出し、発信する料理人がいなければ、第1次産業の振興にはつながりません。
地方を元気にしたいと思う料理人が、生産者だけでなく自治体や観光産業などの他産業と連携し、その魅力を国内外に発信していくことで、人の流れが生まれ地方の活性化につながるのです。

私たちは、「料理マスターズ」顕彰制度が、地方を元気にし、ひいては日本が元気にな るものと考えています。

このように、料理人としての技術・技能もさることながら、生産者や食品企業等と協働して取組を行い、日本の「食材」の普及や「食文化」の発展に貢献した料理人を表彰する制度です。

なお、顕彰の応募は、ブロンズ賞については他薦によるものとし、シルバー賞、ゴールド賞にあっては自薦とします。
ブロンズ賞については、すでに国内で叙勲・褒章を授与されている料理人は、この顕彰の対象者とはなりません(中央省庁、地方自治体、業界団体等による表彰制度等の受賞者は、対象となります)。

overview

制度の概要

農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」は、現役の料理人にフォーカスした制度です。
生産者やジャーナリストといった方は対象に含まれない点が、フランスの農事功労章とは異なる点です。
事務局は農林水産省大臣官房新事業・食品産業部 外食・食文化課に置かれています。

顕彰の対象者

この顕彰は、その者の提供する料理・サービスが優れていると認められる現役の料理人のうち、5年以上にわたり次のいずれかの取組を行い、他の模範とするにふさわしい功績のあった方が対象となります。
【対象となる取組の種類】 この顕彰は、技術・技能が卓越していると認められる現役の料理人のうち、5年以上にわたり次のいずれかの取組を行い、他の模範とするにふさわしい功績のあった方が対象となります。 ①国内の農林水産業との取組 産地と連携し、地域の風土や調理法に適した作物の導入、伝統野菜の復活や地域特有の農産物の発掘を行い、又は地場の素材を活かしたメニューを開発し、取引の継続や伸張等を通じて、地域の食文化の継承・発展、国内における産地の形成や農林漁業者の所得向上等地域の活性化、雇用の拡大等に貢献する取組 ②国内の食品産業との取組 食品産業等と連携し、食品や調味料の開発、国内の食材を利用した新たな調理法の開拓等を通じた当該食品等の普及によって、地域の食材の普及や食文化の発展に貢献する取組 ③海外への教授・指導を通じた取組 日本の食材や食文化、調理技術等について、日本人以外の料理人への教授・指導や、これらを取り入れた店舗の展開等を通じ、海外における日本の食文化の普及と食品企業の海外展開に貢献する取組 ①から③までに掲げるもののほか、この顕彰の趣旨に照らし、これらと同等程度の貢献が認められる取組 このように、料理人としての技術・技能もさることながら、生産者や食品企業等と協働して取組を行い、日本の「食材」の普及や「食文化」の発展に貢献した料理人を表彰する制度です。

なお、顕彰の応募は、ブロンズ賞については他薦によるものとし、シルバー賞、ゴールド賞にあっては自薦とします。
ブロンズ賞については、すでに国内で叙勲・褒章を授与されている料理人は、この顕彰の対象者とはなりません(中央省庁、地方自治体、業界団体等による表彰制度等の受賞者は、対象となります)。

表彰の種類

この顕彰には、次の3 種類の賞があります。
ブロンズ賞    シルバー賞    ゴールド賞
ブロンズ賞は年度ごとに最大8 名、シルバー賞は最大5 名、ゴールド賞は最大3 名となっています。

シルバー賞は、ブロンズ賞を受賞後引き続き5 年以上にわたって取組を継続し、取組の内容に進歩や発展が認められた料理人に授与されます。
さらに、ゴールド賞は、シルバー賞受賞後5年以上取組を継続し、内容に進歩や発展が顕著に認められる必要があります。
つまり、一度表彰をして終わりというものではなく、最初の賞が次の賞のステップとして、さらなる取組と相互の研鑽を図るものになっているのです。

この制度は、農林水産省に事務局を置き、国の制度として実施されていますが、民間も協力してこの制度を盛り上げ、推進しているところが特徴となっています。
民間サイドでは、後述する「料理マスターズ倶楽部」が大きな役割を担っています。

公募開始から選考、受賞者の決定までの実施体制について、官民双方の役割の概要を説明します。
①公募による募集 この顕彰制度は、他薦によるものとしています(シルバー賞、ゴールド賞は自薦)。
そのため、本制度の趣旨を多くの方に理解していただき、各地で活躍されている料理人を推薦していただく必要がございます。
農林水産省による積極的な広報はもちろんのことですが、料理人関係団体や料理マスターズ倶楽部、そして協賛企業などのルートを通じて、制度の認知、料理マスターズ候補となる料理人の掘り起しを進めています。
②応募者の審査と受賞者の表彰 応募者については、2 段階の審査が行われます。
まず、第1次審査は事務局によって行われ、書類審査等を中心に、現地の情報などを含め、応募書類に記載された取組について確認を行います。
そして、第1次審査を通過した人を対象に、第2次審査が行われます。
この審査を行うのは、外部の有識者・専門家で構成される審査委員会です。第2次審査では、個人の料理人に関して、技能・技術の優劣はもちろんですが、生産者などとの取組を通じた地域の活性化や食文化の発展等の功績を各項目ごとに点数化・集計した上で審査されます。

最終的な人数は、ブロンズ賞の場合「基準点を満たした者のうちから上位8名以内」、シルバー賞の場合「基準点を満たした者のうちから上位5名以内」、ゴールド賞の場合「基準点を満たした者のうちから上位3名以内」と、かなり厳しい審査になりますが、その分、受賞者の評価は高いものになります。
審査委員会の結果を受けて、農林水産大臣が受賞者を決定し、表彰いたします。
その模様は、テレビ、新聞・雑誌などを通じて、社会的に広く広報していきます。
③受賞者のプレーアップ この顕彰制度は、下図のように、ブロンズ、シルバー、ゴールドと、最初の受賞が次の受賞のステップになっており、たゆまない精進が報われる形になっています。
料理マスターズ授与式だけでなく料理イベントやシンポジウムの開催、テレビや新聞・雑誌といったマスコミ、省庁や企業の広報などを通じ、受賞者本人や本人の料理だけでなく、受賞者が行っている地域での活動自体も取り上げて報道、広報していきます。
協賛企業との商品開発などに協力することを通して料理マスターズの認知度向上を図ります。
さまざまな側面で、受賞者が受賞して良かったと思えることを料理マスターズ倶楽部としても実施していく予定です。
それらのことが、受賞者にとってはもちろん、これから応募しようとする人のモチベーションになり得ます。
こうした動きをつくることで、この制度はもちろんのこと、その背景にある食と農を通じた地域活性化の活動自体が広がっていくことが期待できます。

judge

料理マスターズ審査委員

「料理マスターズ」顕彰制度の審査委員をご紹介します。

委員長

榊原 英資         一般財団法人インド経済研究所 理事長

委員

青木 紀美江        株式会社青木農園 代表取締役

犬養 裕美子        レストランジャーナリスト

音羽 和紀         オトワレストラン オーナーシェフ

門上 武司           あまから手帖 編集顧問

小泉 武夫           東京農業大学 名誉教授

小山 薫堂           放送作家

重田 秀豪           株式会社インサイト 代表取締役

辻 芳樹               学校法人辻料理学館 理事長・辻調理師専門学校 校長

西川 恵               毎日新聞社 客員編集委員

服部 幸應           学校法人服部学園 理事長・服部栄養専門学校 校長